乳がん手術後について

乳がんの手術を受けられた方は、少なくとも術後10年は定期的な通院を欠かさないようにしましょう。乳がんの手術後には、再発予防のための薬物治療が必要で、特にホルモン陽性タイプの乳がんの方はホルモン剤を10年間服用することが推奨されています。また、乳がんの中には、体の中で冬眠をしたように眠っており、長い時間を経てから何かのきっかけで再発するものもあります。万が一の再発を早期発見するためには手術後10年間の定期検診は不可欠です。

実際に、術後5年以上経過してからの再発は、再発された患者様全体の10%程度と報告されているため、必ず10年間は定期検査を受けてください。乳がんの再発は研究が進んでいるため多くの治療法がありますし、再発の場合も早期発見により高い治療効果を得られます。

検査の頻度は半年～1年ごとで、視診・触診、血液検査、腫瘍マーカー検査、乳房超音波検査、マンモグラフィー、骨密度検査などを行います。ホルモン剤を服用されている方は腹部超音波検査を行うこともあります。術後10年が経過したらほぼ完治したと判断されますが、一度乳がんを経験された患者様は、手術を受けていない側の乳房の乳がんリスクも高いため、1年に1回は検診を受けるようにしてください。また、乳房のセルフチェックも毎月1回、必ず行うようにしてください。

当院でのフォローアップ受け入れ

乳がん手術後のフォローアップでは、再発予防のホルモン治療、内服抗がん剤治療や定期検診などを行います。このフォローアップの期間は10年になります。大きな病院に通うと待ち時間が長く、予約が取りにくい場合が多く、お薬をもらうだけに数時間かかるなど患者様の負担も大きいです。
当院でも、こうしたフォローアップを必要としている患者様を受け入れています。当院の場合は、予約優先制のため待ち時間も短く、処方やお会計もスムーズです。手術を受けた病院と迅速に連携できる体制を整えておりますので、安心して通っていただけます。

フォローアップで行う検査

• 視診・触診
• 血液検査
• 腫瘍マーカー検査
• 超音波検査
• マンモグラフィ
• 骨密度検査など

骨塩定量検査（骨密度検査）とは

骨塩定量検査は骨の中のカルシウムやミネラル類の密度を測定するものです。骨の強度や骨粗鬆症の診断・経過を調べることができます。

骨粗鬆症と乳がんのお薬治療

骨粗鬆症は、高齢の女性を中心に、年々増加の一途をたどっています。骨粗鬆症は、女性ホルモン（エストロゲン）の分泌が低下する更年期以降に特に多くみられます。エストロゲンには、骨の新陳代謝に際して骨吸収を緩やかにし、骨からカルシウムが溶け出すのを抑制する働きがあります。
閉経して、このエストロゲンの分泌量が減少してきますと、骨吸収のスピードが速まるため、骨形成が追いつかず、骨がもろくなってしまうのです。閉経後のホルモン陽性乳がん患者様にはアロマターゼ阻害薬というホルモン剤で治療を行いますが、このお薬をのむことで乳がんの再発リスクを大幅に下げることができる一方で、骨密度が下がってしまうという副作用があります。そのため、お薬を服用している期間は定期的に骨密度をチェックし、軽い転倒でも骨折する可能性が出てくるほど骨がもろくなるようであれば、カルシウム剤や骨を硬くするお薬の処方を提案させていただきます。