AIが支える乳腺超音波診断|高槻市高槻駅の乳腺外科・乳がん検診・乳腺の精密検査|よしかわ乳腺クリニック

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AIが支える乳腺超音波診断

AIが支える乳腺超音波診断|高槻市高槻駅の乳腺外科・乳がん検診・乳腺の精密検査|よしかわ乳腺クリニック

2026年5月15日

AIと乳腺専門医が支える、より精度の高い乳がん診療

こんにちは。院長の吉川です。

今回は、近年急速に進歩している「AI搭載乳腺超音波装置」について、超音波専門医の立場からお話ししたいと思います。

乳がん診療において、「早期発見」は極めて重要です。しかし乳がんは、必ずしも容易に見つけられる病気ではありません。特に日本人女性は、乳腺濃度の高い「デンスブレスト(高濃度乳房)」の割合が高く、マンモグラフィだけでは病変が見つかりにくいことがあります。

※デンスブレスト(高濃度乳房)とは、乳腺の密度が高く、マンモグラフィで乳腺が白く写る状態を指します。乳がんも白く写るため病変が隠れやすく、マンモグラフィ単独では感度が低下することがあります。そのため、必要に応じて乳房超音波検査を併用することで、検出率向上が期待されます。

日本で行われた大規模臨床試験「J-START」では、マンモグラフィに乳房超音波検査を追加することで、乳がん検出感度が向上し、中間期がん(検診と検診の間に発見される乳がん)の発生が有意に減少したことが報告されています(Ohuchi N, et al. Lancet. 2016)。

このような背景から、乳腺超音波検査の重要性はますます高まっています。一方で、超音波検査には「検査者依存性」という課題があります。つまり、検査を行う医師や技師の経験によって、診断精度に差が出やすい検査でもあるのです。

小さな病変を見逃さない観察力、微妙な形状変化を読み取る経験、構築の乱れを察知する感覚などが求められるため、乳腺超音波は非常に専門性の高い検査と言えます。

そこで近年、大きな注目を集めているのが「AI(人工知能)搭載超音波装置」です。

【感度と特異度とは?】

AIの性能を語る際によく出てくる言葉が、「感度」と「特異度」です。

感度とは、「実際に乳がんがある方を、どれだけ正しく見つけられるか」を示す数字です。感度90%であれば、乳がん患者さん100人のうち90人を正しく検出できることを意味します。感度が高いほど、“見落としが少ない”検査と言えます。

一方、特異度とは、「乳がんではない方を、どれだけ正しく異常なしと判断できるか」を示します。特異度90%であれば、異常のない100人のうち90人を、不必要な精密検査に回さずに済むという意味です。

つまり、感度は「見逃さない力」、特異度は「不要な精査を減らす力」と言い換えることができます。

【AI補助で、感度・特異度はどれだけ向上するのか?】

2025年にJMA Journalへ掲載されたレビュー論文では、日本で承認されたAI乳腺超音波システムについて報告されています。

AI補助なしでは、感度83.7%、特異度65.7%でしたが、AI補助を使用することで、感度95.4%、特異度86.6%まで向上しました。

これは非常に大きな改善です。特に重要なのは、単に「見逃しを減らした」だけでなく、不必要な要精査判定も減少している点です。実際に、論文では偽陽性数(異常がないのに異常と判定されるケース)の減少も報告されています。

【AIは、スペシャリストにとっても有用?】

AIというと、「経験の浅い医師を助けるもの」というイメージを持たれるかもしれません。しかし実際には、AIの恩恵を最も大きく受けるのは、乳腺診療を専門とする医師である可能性があります。

AIは、“見落としてはいけない微細な異常”をリアルタイムで可視化し、「第二の目」として機能します。論文でも、AIは「second reader(第二読影者)」として、診断精度向上に役立つことが示されています。

経験豊富な検査者ほど、AIが示した情報を適切に解釈し、より高度な診断につなげることができます。つまりAIは、「医師の代わり」ではなく、“専門医の診断力をさらに高めるための技術”なのです。

AIは、見落としを減らし、検査精度を安定化させ、専門医の診断を補強する方向へ医療を進化させています。これは単なる機械化ではなく、「医師の能力を拡張する医療」と言えるかもしれません。

【最後に】

AIは非常に優れた技術ですが、最終的に診断を行うのは医師です。

患者さんの症状、触診所見、既往歴、過去画像との比較などを総合的に判断することは、現在でも人間にしかできません。

だからこそAIは、「医師に取って代わるもの」ではなく、“より質の高い乳がん診療を支えるパートナー”として期待されています。

当院では、乳腺専門医・超音波専門医としての知識と経験に、AI技術も適切に活用しながら、丁寧で精度の高い乳がん診療に努めています。

【参考文献】

Fujioka T, et al. The Future of Breast Cancer Diagnosis in Japan with AI and Ultrasonography. JMA J. 2025 Jan 15;8(1):91-101.

10.31662/jmaj.2024-0183

PMID: 39926065

【記事監修者】

よしかわ乳腺クリニック 院長

吉川 勝広(よしかわ かつひろ)

医学博士、日本乳癌学会認定乳腺専門医、日本超音波医学会認定超音波専門医

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