乳腺葉状腫瘍
乳腺葉状腫瘍
乳腺葉状腫瘍(にゅうせんようじょうしゅよう)は、線維腺腫に似た良性腫瘍のひとつですが、その頻度は乳腺に発生する腫瘍の0.3〜1%程度と比較的まれです。しかし、葉状腫瘍は急速に大きくなる傾向があり、その中には悪性化するものもあるため、慎重な診断と適切な治療が必要です。
葉状腫瘍は、その腫瘍内に葉脈のような構造を持ち、特徴的な形をしていることから名付けられました。その多くは良性ですが、一部は境界悪性や悪性のものも存在し、悪性の場合は乳がんとは異なる性質を持ちながら、遠隔転移を起こすことがあります。
発症年齢は40〜50代の女性に多いですが、それ以外の年代でも発症することがあります。しこりに気づいた際には、超音波検査や細胞診などを行い、線維腺腫や乳がんなどの他の腫瘍との鑑別を行います。また、葉状腫瘍は良性、悪性にかかわらず、一度切除しても再び同じ場所から再発してくる傾向があります(局所再発といいます)ので、 手術で切除した後も慎重な経過観察が必要です。
乳腺葉状腫瘍の明確な原因は現在のところはっきりとは解明されていません。他の乳腺腫瘍と同様に、女性ホルモン(エストロゲン)の影響が発生や増大に関与していると考えられていますが、確定的な要因は特定されていません。
また、遺伝的要因や体質、慢性的な乳腺刺激が関係するのではないかと推測されていますが、発症に関わる生活習慣や食生活との直接的な因果関係も明らかになっていません。
一方で、線維腺腫の一部が葉状腫瘍へ移行するケースもあるとされ、線維腺腫が短期間で急激に増大した場合には葉状腫瘍の可能性を考慮する必要があります。
乳腺葉状腫瘍は、初期にはほとんど無症状で、健康診断や自己触診で偶然発見されることが多い腫瘍です。ただし、葉状腫瘍は短期間で急速に大きくなる傾向があり、次第に以下のような症状が現れることがあります。
丸みを帯びたしこりが乳房内に触れ、弾力があり、比較的境界が明瞭で、触るとよく動くことが多いですあ。大きくなると皮膚の表面が盛り上がって目立つこともあります。
数週間〜数か月の短期間で、しこりの大きさが急激に増大するのが特徴です。直径が5〜10cmに達することもあり、これが葉状腫瘍の大きな特徴のひとつです。
しこりが大きくなると乳房内の圧迫感や張り、違和感を伴うことがあります。
腫瘍が皮膚近くまで達すると、皮膚が赤くなったり、表面に浮き出るようになることもあります。
痛みはあまり伴わないことが多いですが、しこりの大きさに応じて圧迫感や鈍痛を感じるケースもあります。
乳腺葉状腫瘍は以下のような乳房腫瘍と症状が似ており、慎重な鑑別診断が必要です。
悪性の乳房腫瘍で、硬く不整な形状のしこりとして触れ、動きにくいのが特徴です。皮膚のくぼみやひきつれ、分泌物を伴うこともあります。葉状腫瘍との鑑別のため、超音波検査や細胞診・組織診が必要です。
乳腺葉状腫瘍は、発症の原因が不明確なため、明確な予防法はありません。しかし、以下の点に注意し、乳房の異常を早期に発見する習慣をつけることが重要です。
これらを行うことで、葉状腫瘍を含むさまざまな乳腺疾患の早期発見につながります。
乳腺葉状腫瘍は、しこりの急速な増大や悪性化の可能性があるため、基本的に手術による摘出が治療の第一選択となります。腫瘍の性状(良性・境界悪性・悪性)や大きさ、患者様の希望によって治療方針が決まります。
良性と診断された場合でも、しこりが急速に大きくなることや再発する可能性があるため、通常は腫瘍摘出手術が行われます。しこりとその周囲の正常組織を含めて切除します。
悪性の葉状腫瘍は、周囲の乳腺組織や皮膚、筋膜に浸潤するリスクがあり、局所再発率も高いとされています。この場合は広範囲切除または乳房切除術が選択されることもあります。
葉状腫瘍は再発しやすい性質があるため、手術後も定期的な超音波検査や診察による経過観察が必要です。特に悪性の場合は遠隔転移(肺・骨など)に注意が必要となります。
なお、化学療法や放射線療法は基本的に行われず、手術が治療の中心となります。
乳腺葉状腫瘍は比較的まれな腫瘍ですが、良性であっても短期間で急速に増大する特徴があり、悪性の可能性を含むことから、発見次第、適切な診断と治療が必要な疾患です。
当院では、乳腺超音波検査・細胞診・組織診断を行い、葉状腫瘍を含むすべての乳腺疾患に対して適切な診断と治療を提供しています。
乳房のしこりや違和感に気付いた際には、自己判断せず、どうぞお気軽に当院へご受診ください。
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